どくたーTの選ぶ

NHK交響楽団定期演奏会2000年ベスト3

 20世紀最後の年、TはNHK交響楽団の定期演奏会27回の内、17回の演奏会を聴くことが出来ました。

 そのなかでT的ベスト3を選びます。

 1位 6月度Cプログラム デュトワ指揮
 2位 10月度Aプログラム アシュケナージ指揮
 3位 2月度Aプログラム スラトキン指揮
 番外 3月度Aプログラム インバル指揮

 今年のN響の定期公演の指揮台に立った指揮者は12人です。一番多かったのは、音楽監督のデュトワで5回、あとは3回が、イヴァン・フィッシャー、スラトキン、インバル、スヴェトラーニフです。朝比奈隆、ロバートソン、アシュケナージが2回、ギルバート、デフルス、ナッセン、クリヴィヌが各1回でした。

 演奏した総曲数が75曲。42人の作曲家の作品を演奏しています。同一作曲家でよく演奏されたのは、チャイコフスキーとブラームスで共に6曲ずつ、バルトークが5曲、ストラヴィンスキー、ショスタコーヴィッチ、ムソルグスキーが4曲で続きます。ベートーヴェンとマーラー、そしてバーバーが3曲、エルガー、ドヴォルザーク、ブルックナー、モーツァルトが2曲。残りの29人が各1曲ずつです。ただし、チャイコフスキーの6曲のうち、4曲は、スヴェトラーニフが三大バレエを振ったものですし、ブラームスの6曲の内3曲は、フィッシャーによるハンガリー舞曲のセレクションです。とすると、実質的な一位はバルトークと言えそうです。ここに、今年のプログラムの特色が表れている様です。即ち、近現代音楽の優遇、古典的オーケストラレパートリーの冷遇です。

 もう一つ別な視点からも見てみます。本年取り上げられた作品の内、過去10年間(1990年1月〜1999年12月)の演奏会で何回取り上げられたかです。ちなみに、過去10年間の定期公演で1度でも取り上げられている曲は、75曲中35曲であり、実質的な初演やかなり久々に演奏した曲が40曲もあるということになります。このことが本年1年間のN響の特色だといえると思います。即ち、レパートリーの拡張です。これは両刃の剣です。レパートリーを広げることによって、新たな聴衆を集めることが可能になりますが、一方で、有名曲を繰り返し聴きたいというファンの足を、遠ざける可能性があります。

 本年取り上げられた曲で過去10年間に最もよく演奏されたのは、シューマンのピアノ協奏曲で5回。4回演奏されたのは沢山有って、ベートーヴェンの田園交響曲や第七交響曲など10曲ありました。3回取り上げられたのが3曲、2回取り上げられたのが10曲です。

 以上のように珍しい曲を多数取り上げるため、ベスト演奏会というのが何だったかということがよく判らないのが実情です。そこで、私は、自分自身の心が突き動かされた演奏を選びます。1位はデュトワのベートーヴェン・第七交響曲とノヴェンバーステップスを演奏した6月Cプロに与えます。この時の洋楽器と琵琶と尺八の音色のコンビネーションは素敵でしたし、ベートーヴェン・第七交響曲の類稀なる推進力は大いに評価したいと思います。第2位は10月のAプロ。ラウタヴァーラのピアノ協奏曲はあまり感心しませんでしたが、バービ・ヤールはまさに圧倒的。セルゲイ・コプチャークのバス独唱がとても素晴らしかった。第3位はインバルのマーラーとスラトキンのオールアメリカプログラムからの選択。インバルもよかったと思いますが、コープランドの交響曲を振った時のセンスを買ってスラトキンにしましょう。マイ・ベスト・ソリストはコプチャークです。

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