オペラに行って参りました-2023年(その3)
目次
素晴らしきコンビネーション | 2023年2月22日 | 「高橋薫子、但馬由香ジョイントコンサートvol.5」を聴く |
オペラに行って参りました。 過去の記録へのリンク
主催:ミュージックオフィス ファイブラインズ
高橋薫子、但馬由香ジョイントコンサートvol.5
会場 としま区民センター小ホール
出演者
ソプラノ | : | 高橋 薫子 | ![]() |
メゾソプラノ | : | 但馬 由香 | |
ピアノ | : | 服部 容子 |
プログラム
作曲 | 作品名/作詩 | 曲名 | 歌手 |
ヘンデル | オラトリオ「アレキサンダーの饗宴、または音楽の力」HWV75 | 二重唱「彼女の音楽に重ねよう」 | 高橋 薫子/但馬 由香 |
モーツァルト | コジ・ファン・トゥッテ | フィオルディリージとドラベッラの二重唱「ああ、妹よ、見てごらん」 | 高橋 薫子/但馬 由香 |
モーツァルト | 皇帝ティートの慈悲 | セルヴィーリアのアリア「たとえあなたが涙を流しても」 | 高橋 薫子 |
ワーグナー | ヴェーゼンドンク歌曲集 | 第1曲「天使」、第5曲「夢」 | 但馬 由香 |
ドヴォルザーク | ルサルカ | ルサルカのアリア「月に寄せる歌」 | 高橋 薫子 |
R・シュトラウス | ナクソス島のアリアドネ | 作曲家のアリア「先生、許してください」 | 但馬 由香 |
シューマン | リストによるピアノ・トランスクリプション | S.566「献呈」 | ピアノ独奏:服部 容子 |
ベッリーニ | ノルマ | ノルマとアダルジーザとの二重唱「ご覧なさい、ノルマ」 | 高橋 薫子/但馬 由香 |
休憩 | |||
平井 康三郎 | 小黒 恵子 | うぬぼれ鏡 | 高橋 薫子 |
中田 喜直 | 金子 みすゞ | こだまでしょうか | 但馬 由香 |
團 伊玖磨 | 北原 白秋 | からりこ | 但馬 由香 |
平井 康三郎 | 北原 白秋 | 夏の宵月 | 高橋 薫子 |
團 伊玖磨 | 北原 白秋 | 舟唄(片恋) | 但馬 由香 |
大中 恩 | 北原 白秋 | 片恋 | 但馬 由香 |
中田 喜直 | 寺山 修司 | 悲しくなったときは | 高橋 薫子 |
大中 恩 | 寺山 修司 | 悲しくなったときは | 高橋 薫子 |
鈴木 憲夫 | 小田切 清光 | ほほえみ | 高橋 薫子/但馬 由香 |
アンコール | |||
モーツァルト | コジ・ファン・トゥッテ | フィオルディリージとドラベッラの二重唱「私はブルネット」 | 高橋 薫子/但馬 由香 |
感 想
素晴らしきコンビネーション-「高橋薫子、但馬由香ジョイントコンサートvol.5」を聴く
高橋薫子、但馬由香によるジョイントコンサートが5回目を迎えました。私は最初の回は所用と重なって聴いておりませんが、あとは皆勤です。最初の3回が光が丘美術館での美術館コンサート、その後は会場を池袋のとしま区民センターに移しての開催です。そのとき歌いたい曲を入れる、という方針で今回も盛りだくさん。前半は外国の曲、後半は日本の歌曲という以外はほとんどルールなし。そのおかげで、極めて充実したコンサートになったと思います。
今回は自分で解説を入れながら、時にはピアノの服部容子にお願いしながら演奏するというスタイル。前半は二人とも正統派。冒頭の「アレキサンダーの饗宴」からの二重唱は祝祭的なオラトリオの最後の合唱曲を二重唱曲にしたもの。華やかに始まり、すぐに「コジ・ファン・トゥッテ」の現実離れした姉妹の二重唱。これがいい雰囲気でBraveもの。続く「ティート」はオペラ自体あまり上演されませんし、アリアだけ演奏されることもあまり多くないと思います。私も久しぶりで聴きましたが、高橋が若いころから大切にしているモーツァルトだけあって素晴らしいもの。「月に寄せる歌」は最近よく高橋が取り上げている曲。いい感じにまとめました。
一方で、但馬は今回はドイツ語ものに挑戦。ヴェーゼンドンクは昨年12月に藤村実穂子が歌ったのを聴いたばかりですが、但馬の歌はまだ力任せのところがあって、5曲をひとつの流れとしてとらえて幻想的な美を感じさせた藤村の域ではなかったのかな、というのが正直なところ。とはいえ、立派なものであったことは間違いありません。一方で、「ナクソス」の作曲家のアリアはとても素晴らしい。この曲は「ナクソス島のアリアドネ」のプロローグの白眉とも言うべき曲ですが、実際の舞台で是非聴きたいと思いました。またこの曲に関して言えば、ピアノ伴奏も超絶技巧です。細かい音符をしっかり鳴らしていく服部容子のピアノにも感心し、小声でBraveをいわせていただきました。
服部が二人が喉を休んている間に演奏したのが、シューマン「ミルテの花」の第1曲をリストがピアノ曲にアレンジした名曲を演奏しました。これも結構なもの。さすがドイツものを得意とするコレペティのことはあります。そして前半の最後はベルカントオペラの名曲「ノルマとアダルジーザの二重唱」、こちらも非常に充実した歌唱で、二人とも完全燃焼したのではないでしょうか。
後半の日本の曲は前半と比較すればかなり軽めですが、それでも面白い曲の目白押し。最初に歌われた「うぬぼれ鏡」は自己陶酔して「ウフッ」というところをどう歌うかが一番興味がありましたが、しっかり笑わせてくださる表現で流石です。高橋は今回平井康三郎の曲を2曲取り上げましたが、「夏の宵月」は、正統な日本歌曲の感じで、京風の感じがしました。一方但馬由香は最初は童謡的な二曲を可愛らしく表現しました。
そして、前回から始まった同じ歌詞に付けた違った曲シリーズで、但馬由香は白秋の「片恋」に着けた二曲を歌いました。曲の雰囲気の違いを歌いわけていい感じ。一方高橋薫子は「悲しくなったときは」。中田喜直の方はよく歌われる印象ですが、大中恩の方は初めて聴いたと思います。高橋は二人の書いた海の違いを、中田は瀬戸内海、大中は沖縄の海、と言っていましたが、そんな違いを感じさせる歌でした。最後の「ほほえみ」はもともと合唱曲で、合唱団のアンコールによく使われると思いますが、「微笑みをありがとう」というのがいいですね。
で、アンコールですが軽い曲で来るかと思いきや、またコジのフィオルディリージとドラベッラの第二幕の二重唱。こちらも素晴らしく、いい余韻となりました。Bravissime!
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